2009年9月3日木曜日

KON276【本質から読み解く日本の政治風土~衆院選直前特別企画第4弾!】~大前研一ニュースの視点~

KON276【本質から読み解く日本の政治風土~衆院選直前特別企画第4弾!】~大前研一ニュースの視点~


●中央集権と政治家の不勉強


日本という国が抱える最大の問題は、中央集権が行き過ぎていることです。
官僚が政策を立案し、それに予算を付けて実行していくという官僚主導・中央集権の日本型システムそのものが時代に合わなくなってきています。


このやり方は戦後の復興には効果的でしたが、その後経済がより複雑になり、世界との相互依存交易が盛んになり、さらには情報や資金が国境を瞬時にまたぐグローバル経済の時代になるにつれ、その機能と効果は陳腐化してしまいました。
さらに、80年代以降は官僚組織そのものが自己目的化し、国全体のことを考えるよりも細分化した官僚組織それぞれが局所最適化を始めてしまいました。
いまや官僚機構は、そのことに自分で気がついて直す「自力更生能力」を完全に喪失しています。

そのような官僚機構と中央集権を前提にする限り、日本は仮に正しい答えがわかっても前進できません。
それほどこの問題は、日本の再生にとって致命的な障害になっています。
政治家や官僚といった政治や行政を預かる人の視野が狭く、時代遅れのセンスしか持ち合わせていないということも問題です。

ところが日本の政治家を見ると、世界のことを知らず、ステレオタイプの考え方に固執している人が殆どですし、私に言わせれば 「外の世界のことを知ろう」という意欲もないと思います。
小選挙区制が導入され、今では人口25万人くらいの地域から1人の国会議員が選出されることもあります。
人口だけを見れば、横浜「区長」レベルです。
こうした状況も、日本の政治家が世界レベルの思考を持ち合わせていないという事態を助長していると感じます。

不勉強で世界を知らないという点では、官僚も同様です。
例えば、外務省にしたところで、私から見れば30~40年前の頭脳しか持ち合わせていません。
北方領土問題をはじめとする外交問題について、外務省に新しい外交戦略を期待できるだろうか?と問われたら、答えは「NO」でしょう。

日本の政治家は、ブレーンを作って、もう少し自ら勉強する機会を作るべきです。
今の状況を見ていると、いくつもの勉強会は開催されていますが、圧倒的に勉強時間が足りていません。
遅刻してきたり、途中退席してみたり、といった実態から推測すると、まともに勉強している時間は1日数分くらいだと私は見ています。

中身のないマニフェストと広告宣伝のような選挙キーワードを並べて選挙戦に臨み、結局選挙が終われば、マニフェストなど忘れてしまう。
そんな悪循環はいい加減に断ち切ってもらいたいと強く感じています。

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