2009年9月17日木曜日

毎日スキルアップ通信(2009-09-17) CRM

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No.4「カスタマー・リレーショナル・マネジメント」
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【1】再春館製薬所の戦略

再春館製薬所が販売する「ドモホルンリンクル」のCMをご覧になったことがあると思います。
「ドモホルンリンクル」は店頭で売っていません。
テレビを見て、電話やインターネットで「無料お試しセット」を申し込みます。
それを試してみて気に入ったら初回購入の手続きをとることになります。

店頭での対面販売を行わない代わりに熊本県内にある巨大なワンフロアオフィスで400人以上のオペレーターが電話で応対することになります。

街中のオフィスビルにもコールセンターが目立つようになりました。
コールセンターは既存のビルを利用するため投下資本が少なく労働集約型の事業なので街中にたくさんできる傾向にあります。

メーカーと直結して相談電話を受けるインバウンドが主ですが、なかには他のメーカーの販売業務を請け負って積極的に電話セールスをしなければならないアウトバウンドの仕事もあります。

コールセンター会社の専務と話をしたことがあるのですが、人集めが大変と言ってました。
ITの知識だけでなく接客技術、営業力などが問われるからです。


再春館製薬所も当初は自社製品のインバウンドだけでなくアウトバウンドも行っていました。

実際、テレビで宣伝して顧客からの電話を待つより、会社から電話をかける方が効率がよく、当初の再春館製薬所における顧客全体の7割が後者による方法で獲得したものでした。

ところが、数字目標を追いすぎたため顧客からの苦情や返品が相次ぐことになりました。
商品に対する誤った知識や過度の期待が原因でした。
そこで、顧客自らの注文や問い合わせに対応するインバウンドを中心に、プル型の売上獲得スタイルへの転換を図ることにしました。


再春館製薬所のコールセンターに勤める400人余りのオペレーターは全部正社員です。

コールセンターは顧客との関係構築に重要な役割を果たすからです。
顧客からかかってくる電話をきっかけに関係を深め、次の販売チャンスにつなげていかなければいけません。

オペレーターは電話で聞き取った内容だけでなく、声のトーンや印象を書き加えた情報をシートにまとめスキャナーで読み取りデータベースにします。

次にかかってきたときにどのオペレータでも顧客の情報をすぐに読み出せるようにするためです。

新規顧客を獲得するよりも、既存の顧客を大切にし、関係を維持することの方がより安定的で継続的な売上確保ができるようです。



【2】CRM(カスタマー・リレーショナル・マネジメント)

再春館製薬所ではこれまでアウトバウンド中心だった販売戦略から、インバウンド中心の顧客との関係維持を重視する戦略に軸足を移していきました。

オペレーターは顧客の悩みを聞いてあげたり、季節や気候に合わせた肌の手入れのアドバイスをしたり、営業というよりカウンセリングに近い仕事をしています。

既存の顧客にダイレクトメールを発送することはありますが、その際担当するオペレーターの顔写真も資料に入れ、警戒心を抱かせないようにしているそうです。

このように新規顧客獲得に力を入れるのではなく、既存の顧客との密接な関係を築き、ロイヤルユーザーに育てていく考え方をCRM(カスタマー・リレーショナル・マネジメント)といいます。


現代のような成熟市場においては新規顧客を獲得しようとすると相当な手間と経費がかかります。
それよりは既存の顧客との良好な関係を築き、顧客が離れていかないように工夫する方がずっと効率的で収益率も上がります。


なぜなら、顧客との良好な関係を築くことができれば、1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と購入頻度が増えていき売上額も伸びていく傾向にあるからです。

ある会員制の通信販売では入会5年目の顧客の年間購入額は入会1年目の顧客よりも80%も多かったというデータが残されています。

顧客のデータベースを持っているので、新規顧客のように最初から情報を聞き出すような手間は必要ありません。
また顧客の方もある程度商品の知識を持っているので、顧客との関係維持年数が増えるごとに販促にかかる手間も経費も減っていきます。
また、顧客による口コミ効果も期待できます。

ITの発展により、顧客との情報交換にかかる質、量とも向上させることができ、顧客ごとにきめ細かなコミュニケーションをとることができるようになりました。


これからは顧客のデーターをひとつのレコードとしてみるのではなく「生活者としての人間」として見る必要があります。

マーケティング担当者自身が顧客と同じ場所に立つことの重要性は、このCRMの考え方にも当てはまりそうです



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