2009年9月16日水曜日

毎日スキルアップ通信(2009-09-16)No.3「競争戦略」

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No.3「競争戦略」
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【1】ユニ・チャーム ペットケアの戦略

ペット商品を売るユニ・チャーム ペットケアは1986年におむつやサニタリー用品のメーカー、ユニ・チャームの子会社として生まれました。

ペット商品は大きく3つに分類されます。
ドッグフード、キャットフード、ペットトイレタリーの3つです。

ドッグフード、キャットフードの分野ではマースジャパンの後塵を拝していますが、トイレタリーの分野では業界トップの座を射止め、業界で初めて東証2部に上場するなど躍進を続けています。

3つを総合した売上でもマースジャパンに次ぐ業界第2位の位置につけています。

ユニ・チャーム ペットケアにとって当面の目標はマースジャパンに追いつき、追い越すこと。
でも、全方位的に売上を伸ばそうなんて無茶なことは考えていません。

自分の得意分野を活かせるニッチ領域をどんどん見つけ、そこでトップになり、そのトータルで業界ナンバーワンを狙うという作戦です。

ペットフードの分野ではドッグフードの「ペディグリー」や「シーザー」、キャットフードの「カルカン」がそれぞれトップの座に君臨しています。

まともに当たっても敵いません。
ユニ・チャーム ペットケアはペットも人間様同様健康ブームであることに目をつけます。
ペット医療の進展により高齢化が進み、過食美食による肥満犬も増えているのは人間の世界と同じです。

そこでユニ・チャーム ペットケアは「高齢」「肥満」「室内飼育」をキーワードに製品開発を進めました。

たとえば、「愛犬元気、ベストバランス ミニチュア・ダックスフンド用7歳以上」といった具合に細かく市場をセグメントして商品をぶつけるようにしています。



【2】2位以下の企業がとる戦略

業界全体で第2位のユニ・チャーム ペットケアは第1位のマースジャパンに戦いを挑んでいます。
こういう場合、マーケティングの世界では、市場で第1位のマースジャパンに対しては「リーダー」、第2位のユニ・チャーム ペットケアに対しては「チャレンジャー」という呼び方をします。

業界2位の企業が1位の企業に戦いを挑まず2位の地位を維持しようする場合は2位の企業は「チャレンジャー」ではなく「フォロワー」と呼ばれます。

2位が1位に勝つためには戦略を練らなければいけません。
まともな価格競争では1位に敵うはずがありません。
1位は生産規模が2位よりも大きい点で、経費を安く抑えることができるからです。


通常考えられるのが、独自の技術やアイデアで差別化を図る「差別化戦略」、あるいは特定分野において自社の強みを活かして1位より優れている点を鮮明にするという「集中戦略」の2つです。

ユニ・チャーム ペットケアの場合は「集中戦略」に該当します。

そのほかにもいろいろな戦略が考えられます。

1企業資産の負債化戦略
1位の企業が持つ資産(系列店、代理店、営業職員)が、競争上の価値を持たなくなるようなシステムを創りあげる戦略です。
たとえば、後発のため販売網を持たなかったアメリカのパソコンメーカー「デル」は、インターネットを効果的に活用して販売するビジネスモデルを築き、ヒューレット・パッカードやIBMが持つ多くの販売網を無力化するどころか負の資産にしてしまいました。



2市場資産の負債化戦略
リーダー企業が築いてきたソフトやハードを負債化してしまう戦略です。
たとえば、通信カラオケの登場は、それまで顧客が持っていたレーザーディスクやプレイヤー、ソフトの価値を大きく低減させてしまいました。




【3】トップにならない戦略

1993年、東京薬科大学の学生だった田中亮さんは軽い気持ちで仲間に声をかけ3人組のヒップポップ・ユニットをつくりました。
バンド名は「ケツメイシ」途中、メンバーの入れ替わりなども経験し、1999年にシングル「こっちおいで」でインディーズデビュー。

「こっちにおいで」はその後トヨタ自動車のCMソングに採用されスマッシュヒットを記録します。
4枚目のシングル「ファミリア」でメジャーデビュー。
その後もコンスタントにヒット曲を生産していきました。

そしてとうとう2005年に「さくら」でヒットチャート1位を初めて記録。

ケツメイシの音楽はヒップポップとレゲエでありながら、切なくて懐かしいメロディであるため、若者だけでなく幅広い層にも受け入れられることになりました。

「さくら」で1位をとったとき、インタビューを受けて次のように答えたそうです。
「残念ながら今回は1位になりそうです。おかげさまでアーティスト寿命が短くなりました(笑)」

冗談交じりに言ったものの半分本気でした。
彼らは活動を長く続けおじさんになっても10代の若者や女性に支持されるアーティストをめざしています。

でも1位になると世間の注目がどっと集まり"短期間で消費されて"しまう恐れがあります。
あの松任谷由実でさえ最初のブレイク後、何十年も活動していますが、その後に二度目のブレイクは経験していないのです。

実は、ケツメイシは、敢えて新曲の発売日を他の強力アーティストの発売日と同じ日にぶつけたり、NHKの紅白歌合戦の出演依頼を断ったりして、1位をとらないよう"努力"していたのです。

ケツメイシはできるだけ露出を少なくして、短期間で消費されないよう今も芸能界の「フォロワー」であることを自覚して「ロングセラー戦略」を取り続けています。

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