2009年8月19日水曜日

学習性無力感

学習性無力感

心理学者のマーティン・セリグマンの研究で
長期にわたり、抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれた犬は、その状況から「何をしても意味がない(無力感)」ということを学習し、逃れようとする努力すら行わなくなるというものである。

実験は、
①まず犬を縛り、逃げられない状況にして不快な電気ショックを与る

②逃げ出そうとする努力をしなくなるまで電気ショックを与え続ける

③逃げだそうとしなくなったら今度は縄を解き、自力で脱出できる状況にする

④脱出出来る状況で電気ショックを与える

このような手順で電気ショックを与えられた犬はうずくまったまま、
ひたすら電気ショックに耐えその場から逃げだそうとしなかったそうです。

つまり環境要因によって「無気力、うつ状態」になってしまったと考えたのです。
もちろんこの実験は犬を用いたものであり、この結果をそのまま人間に当てはめるのは少し無理がありますが、
人間についてもある程度のことが言えることが確かめられています。

この心理実験は『人がやる気をなくしてしまうメカニズム』について
なかなかに説得力のある説明をしてくれているのです。

ポイントは心理学の言葉で言う「随伴生」にあります。
ややこしいので説明しますと、まず「随伴生」とは「行動と結果が結びついている」ということです。
「行動と結果が結びついていると感じられる」感覚と言ったほうが正確かも知れません。

セリグマンの実験は人間のやる気にとって、この随伴生の感覚が非常に重要であると主張しています。

実験でも、自らスイッチを押して電気を止められる環境でショックを与えられた犬は無気力にはならなかったそうです。
つまり「つらいこと、いやなこと」そのもののよりも、
「つらいこと、いやなことが自分の行動ではどうにもならない、コントロールできない」と感じることが、人のやる気を奪っていく、ということなのです。


人間のやる気のなくしかたとしては、
努力をしようとしたときに、達成させないようにショックを与え、ひたすらそれを繰り返していくと、最終的には努力をしなくなり、ショックに耐えるだけになる


人は、自分らしく輝いているときには、想像もつかないような大きな仕事をやり遂げる力がありますが、うつ状態に陥れば、考えられないような失敗や問題行動を起こしてしまう可能性があります。

「学習性無力感」を改善するには、
・誉めること
・自分はできるという自己暗示(自己効力感)
が必要みたい。

“飴とムチ”による管理は、一見効き目がありそうですが、過ぎれば学習性無力感を引き起こす決定的な要因となるでしょう。
・問題解決に必要なことは、恐怖ではなく信頼である。
・人は、不安で怖いから有能になるのではなく、自由で楽しいからこそ輝く。


外部からのコントロールでは有意義な成長をもたらすことは出来ない、
人には主体的に成長する十分な可能性と力があり、それを引き出すことが最も大切な教育だと思います。

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